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当院における血圧管理の考え方

当院における血圧管理の考え方

― 生活習慣の改善を基盤に、一人ひとりに最適な治療を ―

高血圧は、日本人に最も多い生活習慣病のひとつであり、心筋梗塞、脳卒中、心不全、慢性腎臓病など、さまざまな循環器疾患の最大の危険因子です。一方で、自覚症状に乏しいため、治療や管理が後回しにされやすい疾患でもあります。当院では「できるだけ薬に頼らず、しかし必要な場合は適切に用いる」という姿勢で、科学的根拠に基づいた血圧管理を行っています。

1.まず大切なのは生活習慣の改善です

血圧管理の基本は、薬よりも先に生活習慣の見直しです。当院では、初診時あるいは経過観察中の段階で、まず以下の点について丁寧に指導を行います。

  • 減塩指導
     日本人の塩分摂取量は依然として多く、特に加工食品や外食、惣菜に注意が必要です。目標としては1日6g未満を目安に、無理なく継続できる方法を一緒に考えます。
  • 適度な運動
     ウォーキングなどの有酸素運動を中心に、週3~5日、1回30分程度を推奨しています。過度な運動は不要で、「続けられること」を重視します。
  • 体重管理・飲酒指導
     肥満や多量飲酒は血圧上昇の要因となるため、必要に応じて具体的な目標設定を行います。

これらの生活指導を行ったうえで、原則として3か月間は薬を使用せず、家庭血圧および診療室血圧の経過を慎重に観察します。

2.降圧薬治療を開始する判断基準

生活改善を行ってもなお、家庭血圧・診療室血圧が一定以上で持続する場合には、降圧薬治療を開始します。

また、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病、喫煙歴、臓器障害の既往などのリスク因子を有する方では、より厳格な血圧管理を目指し、早期から薬物治療を検討します。

3.患者さんの背景に応じた薬剤選択

当院では、画一的な処方ではなく、年齢、合併症、生活背景、副作用リスクを考慮した薬剤選択を行います。

  • 第一選択薬
     多くの方においては、効果が安定しており副作用が比較的少ないカルシウム拮抗薬(アムロジピン、アテレックなど)を基本とします。
  • 腎機能障害・糖尿病合併例
     腎保護効果が期待できるARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)(オルメテック、ミカルディスなど)を積極的に選択します。
  • 塩分摂取過多や浮腫を伴う場合
     体内の余分な水分・塩分を排泄するサイアザイド系利尿薬(フルイトランなど)が有効です。
  • 頻脈や動悸などの症状を伴う場合
     心拍数を抑制するβ遮断薬(メインテート、アーチストなど)を考慮します。

4.併用療法と長期管理

1剤で十分な降圧が得られない場合には、作用機序の異なる薬剤を適切に併用します。高血圧は単一の原因で起こることは少なく、複数の薬を組み合わせることで、副作用を抑えながら確実な降圧を目指します。患者さんによっては、4~5種類の内服が必要となる場合もありますが、異常なことではありません。

5.内服時間と早朝高血圧への対応

通常、降圧薬は朝食後内服としますが、早朝高血圧を認める方では、就寝前内服へ変更することもあります。

また、早朝高血圧が強い方の中には、睡眠時無呼吸症候群が隠れている場合があり、必要に応じて精査も行います。

6.高血圧は「一緒に付き合っていく病気」です

高血圧治療の目的は、単に数字を下げることではなく、10年後、20年後の心臓や脳、腎臓を守ることです。当院では、患者さんと十分に話し合いながら、無理のない、続けられる血圧管理を大切にしています。

気になること、不安なことがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。

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